健診で最も多い異常は肝機能障害ですが、以前は肝障害といえばお酒に結びついて考えられていましたが、最近はお酒をのまない方にも脂肪肝が非常に多いことが問題になっており、Non Alcoholic Fatty Liver Disease (NAFLD)としてしられてきました。「たかが脂肪肝とあなどることなかれ」とよくいわれますが、脂肪肝はアルコールを飲まない方(エタノール換算で男性30g/日未満、女性20g/日未満)でも脂肪肝炎まで進展します。Non Alcoholic Steato Hepatitis (NASH)といわれ、10%の方は肝硬変にまで進展してしまいます。
治療の中心は体重のコントロールで食事を中心に運動を組み合わせることが薬物療法にまさる治療です。当院では積極的にこれらの指導をさせていただいております。
B型肝炎・C型肝炎といったウイルス性肝炎のほか、自己免疫性肝炎:AIHや原発性胆汁性胆管炎:PBCなどの専門的治療をおこなっています。B型肝炎では核酸アナログ内服治療やインターフェロン治療、C型肝炎ではDAA(Direct Acting Antiviral)内服治療、一部の方にはインターフェロン治療がありますが、いずれも兵庫県の医療費助成制度を利用して多くの方は月額1万円で治療をうけることができます。AIHやPBCの助成制度も改定されました。
ウイルス性慢性肝炎でも脂肪肝が合併すると肝がん等が発生しやすくなるといわれており、食事療法もある意味での基本的な治療になります。
また不幸にして肝硬変に進展しまった方のうち、一部の方では身体障害の認定をうけることが可能です。詳しくはお問い合わせください。
当院では院長と超音波検査士(永田聖華ほか非常勤含め3名)にて超音波検査を毎日おこなっており、肝腫瘤を発見した場合は造影剤をもちいた超音波検査にて腫瘤の性状を判定することも積極的におこなっております。また肝腫瘤につきましては近隣の石川病院との連携にて、同院で撮るCT写真は当院でもそのまま見ることが可能になっています。
最近のインターフェロン投与は主としてB型慢性肝炎の方に対しておこなっていますが、院長の1,700例以上のIFN導入経験から、当院では入院せずに外来で治療導入できるようにいたしております。唯一B型肝炎を根治に導くことが可能とされる治療ですが、核酸アナログ治療にadd onする方法や、核酸アナログ投与中止のためのシーケンシャル治療などの方法もあります。入院が不可能であるがIFN治療は受ける必要のある方は是非とも私どもにご相談ください。
「Cスルーやめよう」とCMでもながれていますが、最近のC型慢性肝炎の治療はDAA(Direct Acting Antiviral)とよばれる内服薬治療が主体となっています。当院での導入も70症例をこえました。当院では主としてピブレンタスビル・グレカプレビル(マビレット)、ソフォスブビル・レディパスビル(ハーボニー)、エルバスビル・グラゾプレビル(エレルサ・グラジナ)の3剤を副作用の出方を考慮して使い分けておりますが、いずれも入院せずに外来で治療導入できるようにいたしております。最初のDAA治療にて難治であった方や非代償性肝硬変に進展してしまわれた患者さんにもソフォスブビル・ベルパタスビル(エプクルーザ)という薬が使用可能になっています。